97/11/09根子岳-四阿山

四阿山
四阿山

 やっと、四阿山に行く事が出来ました。日本百名山と呼ばれるだけの山として恥ずかしくない山であることを再確認でき、満足しました。鳥居峠から往復の単独峰登頂でなく、根子岳からの縦走が今回の満足感に大いに関与していると思われます。「縦走しないと、もったいない!」が、正直な感想です。


 ただし、この時期にアイゼンは必須です。特に大勢の登山者がある2000m級の登山道は、アイスバーンとなっており、とても危険です。私は履き馴れたスパイク付きの防寒長靴だったので、さほど苦労はしなかった。しかし、縦走中15人くらいの登山者と行き会ったのですが、驚いたことにアイゼンを装着すべき場所で装着している人がいない。さらに低山登山のような軽装の人、地図も持たず「菅平にはこの道でよろしいのでしょうか?」と人任せな人、事故が起きないのが不思議になりました。


 実際、登山マップやガイド書だってあてにならないのに。もう「それ以前に問題あり」と痛感。「初冬の登山は、装備の面や天候の面で判断が難しい」と肝に銘じて望んでほしい。


 まあ、批判めいたことはこれまでにして。感心したことがあります。それは、ゴミが非常に少ない事。ゴミが無いことがあたりまえではありますが、現実はみなさんがご存じの通りです。それが菅平牧場管理事務所-根子岳-四阿山-鳥居峠間に限っていえば、感心するほど気持ちよく歩くことが出来ました。きっと地元の人々の陰の努力があったのでしょう。この状態が、地元の人々の陰の努力無しに継続できれば、すばらしいことですね。


 前置きが長くなりました。山行記を始めます。


 7:30 自宅を2台の車で出る。


 8:40 鳥居峠。1台の車をドライブイン駐車場に駐車。車の監視料(300円)なるものを払い、もう1台の車に便乗し、日本ダボス前、別荘地の中を通過し菅平牧場管理事務所へ。


 9:05 菅平牧場管理事務所前に車を駐車し出発。最高の天気の中、途中何度も後ろを振り返り牧草地の柵に沿って歩く。妙高山から始まり北アルプス、中央アルプス、富士山までの眺望がすばらしい。この辺りにはマツムシ草の群落があるそうだ。30分も歩くとダケカンバの幼木林となり山座同定しながら小休止。


 風は冷たいが、すがすがしい。これからの行程に期待がもてる。根子岳山頂直下より高さ1.5m位の道標(至 根子岳と表記)が約10m間隔で山頂まで数本立っている。山頂までダケカンバの幼木林以外特に目立つ木や目印が無く、冬季間ガスった時に役にたつのだろう。


10:30 根子岳山頂(2207m)。すでに一組二人が登頂している。石作りの祠に一礼し早めの昼食とする。

根子岳山頂から四阿山
根子岳山頂から四阿山

 その間途中追い越した二組以外に四組、合計三十人位、山頂に立つ。山頂はなだらかなガレで大勢の人々でにぎやかになる。少し北側に行くと米子不動尊鉱山跡が見える。稜線は根子岳から四阿山、浦倉山と、外輪山を形成しているのが一目瞭然で勇壮な光景である。四阿山までは一度170m程降下し、鞍部より再度300m以上登りあげなければならない。


11:15 根子岳山頂出発。100m程で南面がキレットになり岩場となる。これが面白い、さほど危険ではないが山登りした気分になれる。下り始めの正規ルートは大岩の北側、樹林帯に下りているが、これがアイスバーンとなり非常に危険。南側の乾いたテーブル状のテラスを歩けば簡単に抜けられる。下りの途中珍しい岩がある。直径40センチから1メートル位の円柱状の岩が地面から生えているように見える。木の化石かと思えば、どうも高温の溶岩がゆっくり冷えて出来た柱状節理らしい。デビルスタワーのミニチュアのようだ。

奇岩
奇岩

柱状節理
柱状節理


 鞍部は笹の草原地帯で最低部には地塘跡らしきものがある。登りから樹林帯となる。これから約250mの登りは今回一番苦労したところだ。日の当たらない樹林帯には積雪もあり、ルートは圧雪され、ガチガチのアイスバーン。ほとんど氷で、同行者は「キックステップも利かない」と嘆く。テープスリングをねじり、登山靴に巻く。この路面ではビブラムのソールより少しは滑り止めになるようだ。それにしても登りでよかった。樹林帯を抜け開けたザレ場に出ると中四阿への分岐だ。


12:20 中四阿分岐(2280m)。この分岐には明確な道標がない、注意したい。5分程登ったところが鳥居峠への下りの分岐だ。北側の斜面は霧氷となり景観がさらに増す。四阿高原別荘地(四阿温泉、四阿高原ホテル)に降りるルートは、鳥居峠側に降った所にある。


12:30 四阿山山頂(2354m)。山頂は細長い尾根で、たくさんの祠がある。まず、嬬恋村側に向いた上州祠があり、中央には石作りの室がる。その先に菅平に向かった信州祠がりその他にも石宮が点在し、神聖な領域を感じさせられる。なお三角点はこの領域に遠慮したのかさらに奥の一段下がった所にある。

 それにしても眺望がすばらしい。眼下には田代湖、バラギ湖、浅間山の裾野が広がり。遠くは、上毛三山、日光連山、谷川岳。長野県側では草津白根山、北・中央・南アルプスの高峰に富士山。一カ所で体をぐるりと回すだけで360度の大パノラマを満喫できる。なお浦倉山への登山道も整備され、その途中から茨木山を経てバラギ湖へ下る登山道もある。


13:05 四阿山山頂出発。鳥居峠を目指す。登ってきた道のすぐ下のガレ場が鳥居峠への下りの分岐だ。尾根に沿って下り始めて10分程の樹林帯に「妻恋清水」と書いた看板がある。踏み跡に沿って歩くと約3分程で水場に出る。

 本行程中の唯一の水場で、大横川の源流である。水はたっぷりあるので確認だけし、登山道に引き返す。さらに下ると、両サイドが切れ落ちたガレ場に出る。馬の背は広く危険ではない。風の通り道なのだろう、草が一様に同じ方向にしなっている。石宮が登山沿いに点在している。はて?何基あるのか数えてみよう。


13:50 吉永井分岐。分岐の尾根のピークに休憩舎があり、その下は広いガレ場となっている。これより尾根は二手に分かれ、ガレに沿って下りて行くと的岩コースとなる。今回歩いた上州古道と呼ばれるコースは左側にある。明確な道標が無く注意したい。後続のパーティが的岩方面に向かう。


14:20 花童子の宮跡。ここにも休憩舎がある。花童子の宮跡には石囲いの中に倒れた古い柱が数本積んであり、石段・石塔・鳥居跡の様なものもある。小規模ながら立派な社であったと推測できる。現在は木道で整備されているが、花童子なるものについて何の説明もされていない。

 後に調べたところ嬬恋村村誌に「この付近は天狗の巣で村の人々が雨乞いを行うと三尺程の童子が現れ、この童子が現れると雨が降った。」と、あるだけで、詳しいことは解らない。・・・知っている方はメール下さい!


 木道で15分程小休止。落葉しているので西の稜線に的岩がよく見える。2.5万図にはここから的岩まで登山道が表記されているが現在は無い。再出発。しばらく下って火山礫の露出した鞍部に出ると、賽の河原だ。これより尾根から外れ西側の沢側に下る。


14:55 林道終点。的岩コースと合流している。先の吉永井分岐で分かれたパーティと合流する。聴けば、「登りは上州古道を歩いたので、下りは的岩コースにした。整備もよく歩きやすい。」とのこと。どちらを下っても私たちと再合流したところを見ると、時間的に変わらないみたいだ。カラマツ林の中の林道を歩く。5分程で右に分かれる分岐があるが、道標がない。


 そばの道路標識に小さく黒マジックで「→鳥居峠」と誰かが書いている。まっすぐ行っても間違いなく鳥居峠に着くが、「砕石を敷いた車道より、こちらの方が歩きよい」と右に進路を取る。どうもこちらの方が本道(旧道)で、車道の方は新道のようだ。旧道をショートカットし林道を新しく作っても道標を整備しない。この辺りが登山者よりも、車を利用する業者優遇のスタイル。文化の低さが見えますね。


15:10 的岩山分岐。以前、この的岩山へのルートは笹藪で入る気がしなかったが、分岐から見る限り整備しているようだ。しかし、この付近一帯のカラマツ林で営林署が測量しているところを見ると、「笹刈りしているのは測量している一帯のみ」と、考えてしまう。それもこれも、前記した様に”文化の低さ”に対する防衛ととるか、あきらめととるか?人界に近づくと、だんだん卑屈な気分になるのは私だけであろうか?


15:40 鳥居峠。到着!ビールがうまい!!(んーーっ?、どこかで読んだような記述。それ以外に表現力が無いの?)


後記
 四阿山山頂から林道終点まで、私が数えた石宮は合計15基。見落としたもの、壊れたもの、登山道から外れた所にあるもの、等、まだまだあるとおもいます。きょろきょろしながら歩くのも、なかなか愉しいですよ。


 四阿山山頂には昼食時でもあり大勢の登山者がお弁当を広げていた。約8割が女性だが、「この女性達が後20歳若ければ、それにつられた男性登山者が増えるなぁ」なんて変なことを考えてしまった。その彼女らから発せられた、今となっては”死語”とも云える「ヤッホー」を聴き、何か嬉しいような、こそばゆいような、なんとも云えない気分でした。


 最後に、嬬恋村にはこの素晴らしい四阿山、それに付随する山岳信仰文化の遺産があり、羨ましく思う。

06/09/30 四阿山最新情報
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